柳沢直さん FIELD WORK
4月25日、26日と岐阜県立森林文化アカデミーから植物生態学者の柳沢直先生をお招きし、FIELD WORKを行いました。

前回に続き二回目となる柳沢先生のイベント、今回は食べられる野草について。
初日は集落の有志により村山整備をしているヤマブの皆とは村山を中心に、二日目はご応募いただいた皆様とH&の周りを廻りました。
日本に元々自生していた野菜は何か、という問いには日本名が付いている「人参」や「大根」と答える参加者に、「実はセリとミツバ」だけなんです、という座学から始まりました。
「食べられる野草」といっても食べられるものの美味しくないものもあり、今回は食べられて、かつ美味しい物でお願いしました。

そもそも野菜と野草の違いは、野草は人間が育てなくても勝手に生えてくるもの、野菜は人間が栽培して収穫するもの。
野草の中には野菜として栽培されるものも含まれるのでその境界は曖昧な場合もあるそうなのですが、野草は総じて自分が食べられないように毒としてのアクを持っていて、野菜として私たちが栽培しているものの多くはそのアクが無い物が多い。
アクの無い野菜は食べれば美味しいし調理しやすいけれど、当然動物や昆虫による食害のリスクも上がる。その為野菜とされる植物は、畑で手間暇かけて育てられることとなります。
野草のアクも昆虫側で克服し、特定の植物を食べられるように特化した結果、逆に他の植物を食べられない身体に進化した蝶が居たり。
アクの一つであるタンニンは水に溶けやすい為、水にさらすと食べやすくなったり、加熱処理することでアクが無くなったり、そうしたお話を聞くと私たちが普段している調理方法にはそれぞれの植物に応じた適切な処理方法を行っているなとお話を聞きながら食卓に話が繋がったり、「野菜」と呼ばれる多くは今私たちが良く口にする植物たちは弥生時代以降に大陸から来た人たちによって運ばれてきたというお話につながったり。
手作りの茅葺小屋の下で黒板と柳沢先生、そして半径100mくらいの範囲でのフィールドワークでしたが、ミクロにマクロに頭の中は世界に飛んだり、過去に飛んだり、地中に飛んだり、昆虫の世界に飛んだりと、あっという間の数時間でした。

お話自体は実は複雑なものの、フィールドを歩きながら実際の植物を採取していると参加者は本当に楽しそう。
そして先生への質問は尽きません。
中には「食べられる」と聞いた瞬間に片っ端からその場で食べる参加者も。


ヨメナ、カキドオシ、クズの芽、藤の花、イタドリ、タンポポ、コシアブラ、タカノツメ、イヌガラシ、ヤブカラシ、ナンテンハギ、ウシハコベ、柿の葉、スギナ、カンゾウ、ノビル。
それらをチヂミに、おひたしに、てんぷらに、そしてジャムにして頂きました。
食べられることで有名な野草もあれば、存在は有名なものの食べられることを知らなかったものもあったり、また調理をしていると「草刈りの時によく嗅ぐあの匂いだ!」となったり。
そのどれもが素晴らしい香りを持った食べ物となりました。


特に藤の花、参加してくれた小学生は余りのおいしさに、「藤の花の咲く山を燃やして丸ごと食べたい!」と。(笑)
雑草だと思っていた野草たちがどれも本当に愛おしく見えてきて、前回に続き今回もまた更に雑草が刈りづらくなってしまう楽しい時間でした。

身の回りの物事への解像度が上がるにつれて、「環境を大切にしなくてはいけない」、という言葉よりも先に愛おしく感じる心が芽生えるのを感じます。
その身の回りのの世界とどのように付き合い暮らして行くのか、今後もこうした機会を皆様と共有し、考えて行きたいと思います。

柳沢先生、どうもありがとうございました。
H& Architects 半田俊哉