田植えという日
2026.06.02

今年もまた、この日を迎えることができた。そう思うと、感慨深いものがあります。
田植えにたどり着くまでには、ずいぶんと長い道のりがあります。
稲刈り後の田起こしに始まり、竹を伐り、竹炭をつくり、米ぬかを集めて蒔く。種はのぎ取りをしてから温湯で消毒し、塩水選にかける。芽を出させるためにハウスを組み、苗を育てる土と道具を整える。播種をして、育苗へ。温度を見ながら水をやり、春になればまた田を起こし、畔の草を刈り、水路を掃除する。ようやく田に水を張れば、今度は畔から水が漏れないよう、土を塗って固める畔塗。水を張ったまま代掻きを二度。田植えと除草の道具を手入れして—そして、ようやく田植えの日を迎えるのです。








人によってやり方は違いますし、やるべきことは数えきれないほどあって、失敗すればそれまで、という工程も少なくありません。
それでも田植えを、どこか「イベント」のように呼びたくなる。苗をようやく植えられるその一日が、長い時間の先にようやく実を結ぶような感覚として、私の中にあるからかもしれません。とは言え、ここからが折り返し地点のような、また始まり。
多くの方に支えられて、続けられている田んぼ事。どうすればこれから先も続けていけるのか。私たちだけでなく、見渡すかぎりの田んぼには、それぞれに関わる人たちのドラマがあります。
手間はかかります。それでも、そこから得られるものの多さに、続いてほしいと願う人は、きっと少なくないはずです。
田んぼ事に関わらず、設計においても同じですが良いと思っていることを続けるための仕組みを、考えよう。そう、新たに思うのでした。
H&Atelier 平田智子

この稲藁を使った設計事例「稲藁逆葺の休憩小屋」 https://h-and.net/works/11692