すぎもとボーン・クリニーク(小児科医院)
/兵庫・丹波篠山
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OFFICE/事務所
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MEDIC & WELFARE/医療と福祉
庭からはじまる、やさしい動線。地域に愛される小児科医院の改修
兵庫県丹波篠山。街で一番児童数の多い小学校の隣に、この小児科医院はあります。 開院から約20年。無垢の木の床と壁は美しく経年変化し、「よくある現代の病院」らしくない、居心地の良い医院として地域に親しまれてきました。
はじまりは、「砂利の駐車場とお庭を、訪れる人のために整えたい」という院長先生の一言でした。 当初は庭師松下さんへのご相談でしたが、手狭になっているためバックヤード用の小屋があると良いかという話があり、私たちH&も加わることになりました。
私たちが参加した頃には、コロナ禍を経て医院の動線が複雑化していたこともあり、「庭だけでなく、発熱のある患者さんとそうでない患者さんの出入口・待合を明確に分けるなど、建築も含めて全体を再構築した方が良いのではないか」と、そもそもどの様な医院だと良いかという考えに至ることに。
外構の改修から始まった相談は、やがて「これからの医院のあり方」を根本から考えるプロジェクトへと広がっていきました。
私たちが提案したのは、ゆったりとした屋根のある出入口とアプローチを「新たにもう一つ」つくることでした。 出入口を2つに分けることで、用途(症状)の違う患者さんが、互いに干渉することなく安心して過ごせる明確な動線が生まれます。 また、庭と絡んだ深い軒下の「半外空間」は、雨の日や日差しの強い日でも、子どもと一緒に次の診察への準備ができる、おおらかな余白となります。
待つことが苦手な子どもにとっても、子どもに意識が集中して張り詰めている大人にとっても、植物に囲まれたアプローチは静かな癒しになります。
新たにつくった待合室には、あえて大きな窓を設けました。 植物が見えるだけでなく、隣接する小学校の校庭を望むことができます。「本調子ではなくても、何かしたい」——そんな小さな子どもたちの気持ちを、窓の向こうで遊ぶ子どもたちの姿が少し満たしてくれるかもしれません。
既存の出入口・待合室・診察室は活かしつつ、建物中央に受付を移動し、新たな出入口やバックヤードを再配置しました。スタッフさんが働きやすいということも重要なことです。 動線を整理することで、医院としてすべきことがクリアになります。既存の良さと新しい機能、そして庭という自然の力が一体となることで、まとまりのある空間へと生まれ変わりました。
医院とは、不安を抱えて相談や治療に訪れる場所です。 しかし、すぎもとボーン・クリニークでは、診察室で先生と対面する時だけでなく、駐車場に車を停め、緑のアプローチを歩き、待合室で過ごすその全ての時間に、先生とスタッフの気配りが行き届いています。
診察室の中だけで医療が行われているのではなく、敷地に一歩足を踏み入れた瞬間から「やさしい時間」が始まっている。そんな、庭からはじまるクリニックです。