JOURNAL日々のこと

垣根を越えての話し合い

2023.06.13

アクロバットスクールの分校「森のアカデミー」では実施設計に伴い構造検討が進んでいます。
構造検討の結果必要な部材を製材所を通じて用意する、というのが通常の流れですが今回の工事では現地の裏山から伐採した木々の中から材料を探し、使えるものを整理した上で構造検討を行うという少し逆のような流れで進んでいます。
先日山の中に入り大まかに採寸したのですが更に詳細な寸法を計測する必要があるということで、山から平地に材を引っ張り出す工程を前倒しにすることになりました。
枝に阻まれて奥まで進むことができなかったのが噓のように視界が開け、それを引き出す道をユンボで付けて行きます。

その合間に時間を頂き、施主、木こり、大工、設計が一緒になってどうやって、どこに材を出すか、出せるのかという話に始まり、そこから最大限の材を確保するにはどのような断面で考えればよいのか、それはどのようにして作業が可能か、こんな道具があるよ、こんなやり方もあるよ、だったらこうでもいいんじゃない？などとお互いの垣根を越えての話し合い。

皆それぞれ今日集まっている役割としての立場はありますが、自分で木を切るところから家を建てた木こり、自分でログハウスを建てた木こり、ヤギや鶏を飼い家と一緒に庭も作って行っている大工、田んぼやいろいろしている設計、そして自分で場所を開拓していっている施主と、自分の職業以外に身を以て知っていることが互いにあるためお互いの領域が溶け合います。

現地の木を伐採して使うという結構大変なことを私達が言い出してしまったはずなのですが、皆とても楽しそう。それをまた施主さんが楽しんで受け入れてくださっているので更に有意義な時間となりました。
最初は見えなかったことが、こうして人が寄り集まることで道が見えて来ました。