JOURNAL

詠み人知らず

2018.07.23


まだ断熱が施されていない極暑の芦屋の現場へ。
木製建具が入る予定の開口に大工さんが丁寧に仮養生をこしらえてくれていました。
柱と柱の間に入る設計上の建具は中桟のない大きなものとなりますが、これは養生なのでダンパネに補強の横桟が入っています。
中まで日の入らない高い高度の夏の光を受け、乳白のダンパネが障子のように光を蓄え、やさしく変換してまだ室内になり切れていない室内にその光を授けてくれています。
自分たちで設計したはずの建物でありながら、工事中には時たまこうして一度その手から離れた別の顔を見せてくれる瞬間があります。
作為のなさのなせる業なのか、未完成であることの荒々しさがそう見せるのか。
ある意味誰が作ったわけでもない空間を見て、いやいや負けていられないと気を引き締めたのでした。

エイチ・アンドは神戸と篠山を拠点に活動する建築設計事務所です
神戸事務所:兵庫県神戸市魚崎北町5-3-16-307
丹波篠山事務所:兵庫県篠山市東吹