JOURNAL

鎧張り

2019.02.12

栗東の家では外壁の鎧張り施工が完了しました。
鎧張り
この呼び方について誰にも語源を今まで尋ねられたことはないですし、疑問に思ったこともありません。
そのくらい見た目に明らかですね・・・と思いながらやはり気になって調べてみると、鎧の錣(しころ)に似ているから、とのこと。
肩から下にまとうあの鎧、個人的には特に腰回りを想像していましたが、厳密には違うようです。
錣というのはあまり聞きなれない言葉ですが、画像検索してみると鎧兜の後頭部から首回りを守るあの部分、そういえば割と見慣れているあの部分です。

板張りの外壁はコストパフォーマンスが良く、何より良い年の取り方をしてくれます。
無塗装で施工すれば基本的にメンテナンスフリーで、他の外壁材と比較しても耐用年数はかなり優れています。
板材自体は軽量なものですが、鎧張りとすることで板の厚みを見た目に感じることができ、また光に当たると壁面事体に陰影が生まれます。
スレート屋根のように板が重なり合うことで雨仕舞にも優れています。
板の幅や厚み、見え方、節の量は全体の設計上のバランスはもとより、現地で調達できる材料、そして場所、クライアントとの対話の中から一番無理のない相応しいものを選定しています。
その為同じ鎧張りと言っても毎回少しずつ違った表情の外観が生まれます。

設計をしていると使う材料は経験を重ねていく中で決まった材料に行きつく部分はありますが、木に関してはかなり地域、そして製材所に材料の性質、そして加工の仕方が依存することとなります。
どうしてもいつものあれが良い、という場合もありますが、余り頑なにならずに外に目を向け受け入れながら設計を進めていくと新たな出会いに繋がります。
材料にしても設計の仕方にしても、そういった柔軟性を持って進めていくことは様々な面で無理を生まないですし、何より知らない世界へと物事が少しずつ広がっていくわけですから楽しく有意義なことだと感じています。

エイチ・アンドは神戸と篠山を拠点に活動する建築設計事務所です
神戸事務所:兵庫県神戸市魚崎北町5-3-16-307
丹波篠山事務所:兵庫県篠山市東吹