真鍮釘の経年変化。時間とともに育つ素材を選ぶ理由
2014.09.11

外壁の杉を留め付けるのに選んだのは真鍮釘。
ステンレスのように水に強いのが特徴ですが、真鍮は時間が経つにつれて表面が味のある変化をし、杉と一緒に良い歳の取り方をしてくれる。
一番「綺麗」なのは出来上がってすぐかもしれないけれど、時間が経てばたつほど「良さ」は増していく、そんな建築をつくりたいと考えています。
真鍮は時間をかけて育つ素材です。
新品のときは明るい金色をしていますが、手が触れるたびに、空気にさらされるたびに、少しずつ色が深まり、やがて落ち着いた飴色へと変わっていきます。その変化の過程に、過ごした時間が刻まれます。

H&では、釘・丁番・引き手といった金物類にも、できる限り真鍮や鉄など経年変化する素材を選んでいます。
理由は単純で、10年後・20年後に「古びた」ではなく「育った」と感じてほしいからです。

ステンレスやアルミは劣化しにくい素材ですが、時間が経っても見た目がほとんど変わりません。
一方で真鍮や鉄は、使うほどに表情が変わります。無垢の木の床が足跡を吸収して艶を増すように、真鍮の釘は時間を吸収して色を深めます。
素材が経年変化するということは、その建築が人と共に生きているということです。
H&が設計する家では、木・土・石・金物——すべての素材が時間とともに変化し、暮らし手と一緒に育っていくことを前提に選んでいます。合板やフラッシュ材を極力使わないのも、10年後に「剥がれた」「浮いた」という状態にしたくないからです。
H&の空間を実際に体感されたい場合は丹波篠山事務所、本屋の月書房まで。