JOURNAL

はかないもの

2014.12.09

日が暮れる一瞬前、そして東の空が雲で暗く覆われている時にだけ事務所の窓から見られる光景。
夕焼けに染まった空が丁度反射するビルたちがとても綺麗でなんだか不思議といつもより愛おしく感じます。
私が今更言うまでもないことなのかもしれませんが、人間は壊れやすいもの、そしてはかないものになぜか惹かれます。
この風景だって移り変わる中での一瞬の出来事だから美しく見えるのではないか、と。
花も枯れるから一瞬の美しさに魅力を感じますし、桜も一年のうちたった数日だけ満開を楽しめるからこそ全力で愛でるのではないでしょうか。
音楽家でも壊れやすく危うい人の音楽ほど豊かだったりします。
はかなさは繊細さにつながると私は思っているのですが、そのはかなさの持つ繊細さを自分たちが設計する建築に持ち込めないか、とたまに考えます。
建築は長い目で見ればはかない存在かもしれませんが、夕焼けや花に比べたらずっとずっとしっかりした存在ですし、また人間を守ってくれる強い存在でなければいけない面があります。
その中でいかにそのはかなさを持ち込めるか。
無駄な挑戦かも知れませんが、考えることでそこから何かが生まれるのではないかと思い、考え続けています。

Photo: View from the office at dusk.