JOURNAL

「おさまり」

2016.04.05

兵庫県は養父市で進めている現場へ行くと、恐らく本工事で最難関と思われている部分が何事もなかったかのように出来上がっていました。
建築の現場ではよく「おさまり」という言葉を口にします。
おさまりとは異なる部材同士が取りあう部分であったり、形状が複雑になりそうな部分の詳細のことを一般的には指しています。
「ここはおさまりが難しいなぁ」とか、「ここおさまってないなぁ」とか、なんだかんだとこの言葉を使っています。
では「おさまっている」というのはどういう状態かというと、上述の「何事もなかったかのようにできていること」だと思います。

この現場では天井で板材が立体的に取り合っており、取り合う角度も一定では無かったり、そしてそこに作り付けの木製建具が絡んで来たり。
絡んでくる部材の種類や角度、要素が増えれば増えるほどこの「おさまり」というやつは難しくなってきます。
更にこの板材が最終仕上げとなるため、最後に塗装で化粧ができず、誤魔化しが一切利きません。
現場では大工さんから「こんなんどないしておさめんねん!」と言われたりもしましたが、結局「何事もなかったかのように」おさめていただけました。
このように大工さんがこちらの描いた図面を読み込み理解しおさめてくれることもあれば、大工、監督、設計が図面を中心に輪になっておさめ方を考たり。
現場監理は現場のチェックの他、こうした打ち合わせが実はほとんどだったりします。
そのコミュニケーションが現場の楽しさの一つの醍醐味だとも感じています。
合間合間に互いの身の上話もしながらあーだこーだと。

最難関を突破(恐らく)したこの現場、この先が楽しみです。

Photo: A ceiling of a residential project which we assumed as a most difficult part to deal with.