丹場=ニハ
H&新事務所、ランドスキップさんによるお庭の工事が終わりました。
庭の語源は「丹場」とかいて「ニハ」なんです、というお話をランドスキップ溝口さんから度々教えて頂きました。
ニハとは本来、神事、狩猟、農事などを行う場であったとのことでした。
私たちのこの場所においても庭ではなくニハを、ということで話が進み、現自宅兼事務所と新事務所の間の空間を軸にしたニハを作っていただきました。
愛知県稲沢市から総勢5名で新事務所に泊まりこみ、4泊5日の合宿のような形で取り組んでくださったのですが、ポーチの床に使われているレンガが土に溶けていくようにしたい、という私たちの言葉から始まった「溶かす」という言葉をどう捉えるかということを日々皆で話し合ったとのことでした。
場所としては凛とした佇まいがあってほしいと思うものの、ここは里山を背にし、目の前には田んぼの大海原が広がる典型的な里山の風景。その風景と新たに作る場所の風景を如何に溶け合わせるか、といった問いにもつながります。
レンガと土の境界、レンガと野芝の境界、野芝と川砂利の境界、川砂利の中に溶け込んだヒメイワダレソウと、振り返ってみると境界という境界を溶け合わせてこのニハはできているのだな、と感じています。
里山の風景にも目を向けると人間の手が加わっては居るものの、何かと何かの境界は割とボケていて、でも人間の痕跡はしっかりと残っている。そんなバランスと同じものがこのニハにはあるのかもしれません。
とはいえまだまだ出来上がったばかりのこのニハはまだまだ溶けておらず、これを溶け合わせるのは時間と自分たちの日々の営みだと感じています。
大事にこの場所を使い続けて行きたいと思います。
エイチ・アンドは神戸と篠山を拠点に活動する建築設計事務所です
神戸事務所:兵庫県神戸市魚崎北町5-3-16-307
丹波篠山事務所:兵庫県丹波篠山市東吹
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