JOURNAL

irony effect

2018.08.09

芦屋の家で使用する合板のサンプルを確認しに八尾市は安多化粧合板さんへ行ってきました。

採用となったのは左から二番目の物。
左の二枚の板は両方とも北海道は大雪山のナラで、鉄分を含んだ液体を塗るとナラに含まれた成分が反応してナラがグレーに染まっていきます。
下の写真はクライアントのお子さんが遊びがてら鉄分をナラに塗らせてもらっているところ。

塗っている液体はほぼ透明なのですが、みるみる色が濃く変わってきています。
京都の染物屋さんが使っていたこの手法を見て、木には使えないかと思いつき生まれた手法とのこと。
ナラをグレーに塗装したものと違い、ナラそのものの色が変わっているため風合いが全く違ってきます。
塗装は基本的に表面に乗せるものなのでやはり印象が平面的、それに対してirony effectというこの手法で仕上がった合板には元々の木目本来が持っている奥行きを感じさせ、光の当たり具合によって変わる表情はとても豊かです。
我々は基本的には素材本来の風合い、経年変化を生かしたいため着色はしていません。
でもこの方法による着色にはその風合い、そして経年変化があり初めて紹介されたときにはそういうやり方もあったのか、と驚きました。
一度この板を見てしまうともう塗装には戻れません。
ただ反応を利用しているため出したい色を出すのにとても苦労するようで、中々思ったような色にたどり着けませんでした。
天候による違いであったり、同じ地域で採ったナラでも微妙に位置が違うと反応具合が違ったり、同じ木の中でも硬い部分と柔らかい部分で色が違ったり。
クライアントも含めて皆であれやこれやと悩みながらようやく良い結果にたどり着きました。
とはいえまだ数枚のサンプルを作って頂いた段階、これから建具や壁に使用する板を無数にこしらえていただかなければなりません。
安多化粧合板さん、よろしくお願いいたします。

エイチ・アンドは神戸と篠山を拠点に活動する建築設計事務所です
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