JOURNAL

川合優さん

2016.06.30

大学のひとつ上の先輩であり、大好きな木工作家の川合優さんの展示を見に、京丹波町にある白田さんへ行ってきました。
川合さんはこの写真の杉皿の原板を手に入れた際に、その杉が20数年前にとあるきこりが切り、京都のある製材所で製材され保管されていたことを知りました。
きこりが切った木は島根県は隠岐西ノ島のとある神社に生えていた樹齢250年の杉でした。
川合さんはそこからその切株を探すために隠岐西ノ島へ旅をしています。
その木は有名な木だったそうで、人に尋ねながら探すとすぐに見つかったと。
同じくこの木から作った瓶子をその上に置いて記念撮影をした時に、なぜか木が互いに恥ずかしそうにしていたように見えたとのこと。
なんだか素敵じゃあありませんか。
川合さんの物はその物自体がとても素敵です。
いつも色々と話を聞きながら手に取ることでその物の後ろにあるストーリーが見えない根っこのようなイメージを形成し、その感覚がまた心地よいのです。
私にとってデザインとはそこにある必然性によってつくられることが多いです。
その必然性の捉え方、扱い方の違いがそれぞれのデザインの差を生み出していると考えています。
川合さんの作るもののほとんどには機能があり、その機能のためのデザインが本当に素朴かつ繊細になされています。
このお皿も以前からずっと欲しかったもの。
豆鉋で削られた表は緩やかに凹んでいて、裏側はもっと急激にカーブしています。
そのカーブ具合がまたたまらないのです。
そしてこれだけの切れ味のある形がデリケートな杉でできているブレイカブルな感じがたまりません。
この30cm角の杉皿、161本の年輪がありました。
このお皿にも見えない根っこが生えていて、それは川合さん、京都、きこり、そして隠岐西ノ島へと続いています。

白田での川合優さんの展示は今週日曜日まで。
http://dokkatouyu.exblog.jp/24444341/

川合優HP
http://www.kawai-masaru.com/

Photo: A cedar plate by Masaru Kawai.