JOURNAL

根継

2018.04.24

篠山のギャラリー計画では工事が進んでいます。

工事が始まって約三週間、大きく見た目に変化はないものの地道な作業が続きます。
改修につきものなのが劣化部分の補修です。柱の場合は基本的に湿気を含んだ地面に近い根元から悪くなっていきます。
悪くなった部分を切除し、新しい部材を入れていくのですがただちょん切ってボンドでくっつけるわけには行きません。
そこで新しい柱と古い柱が有機的に一体となるよう根継という手法がとられます。

通常梁と梁を繋ぎとめるのに使われる継手と同じような作業を柱に行います。
ただしこの柱は上部を梁で固定されているので、このような作業の方法になります。

まあそうなるよね、ということではあるのですが整頓された工場で水平な台の上に置いて作業することと比べて、ただでさえ難しい継手の難易度がさらに上がるのも想像に難くありません。
粗削りされた柱がこちら。

根継の他現場では図面通りに物事を進めようとすると多種多様な問題が発生し、それを現場で検討して解決していきます。
改修工事の場合はその性質がとても強くなり、また施工者、特に大工の力量と対応能力が大きく求められます。
私たちだけではないと思いますが、実際に現場で手を動かすことがない設計という仕事をしていると、手を動かして最終的な物事を解決する人には嫉妬にも似た尊敬の念を抱きます。
しかし様々な事情から改修のニーズが高まる中、こうした技術力と対応力を持った大工は逆に減ってきています。
もちろんその中でもそういった力を持った施工者と出会うことは大事ですが、そうでない場合でも確実な施工ができるよう配慮した設計力も求められてくるのではないかと思います。
まずは地元でそんな力を持った施工者と出会えたことに感謝です。

エイチ・アンド一級建築士事務所
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丹波篠山事務所:篠山市東吹