JOURNAL日々のこと

福井県年縞博物館

2023.07.31

福井県は年縞博物館へ行って来ました。

内藤廣さんの建築ということもあり、たくさんの知人からいいよいいよ～、と聞いてはいたのですが、皆建築関係者ながら建築そのものが良かったという以前に展示が面白かったという話を多数聞いていて、ずっと気になっていました。
福井県の若狭町にある水月湖という湖の底に奇跡的に堆積した7万年分、45mの年縞を展示する為の、45m+αの長さのある単純な空間です。

時間というものは人間の概念ですから、歴史というものは目にしてみることはできないものかと思います。それをある種物理的に保存していて目にすることができるというのが年縞の面白さかと思います。
でもただこれが展示されているだけでは地層を見るのと変わらず「ふ～ん・・・」となってしまうのですが、年縞の至る所にその年に何が起きた為年縞がこのようになっているなどが書かれていたり、地球のその頃の気温がどうであったか、それと比べて現在の温暖化というものはどういうことになっているかと、7万年の時間とその一番表面を生きている私たちをきちんと繋ぐ仕掛けや展示がとても興味深いものがありました。

行って見て頂かないと分からないとは思うのですが、今まで認識していた世界とこの博物館を経た自分の世界の認識がゆるやかに少しずれる、という感覚が自分としてはあります。
いつも建築を見ると飽き飽きする子供たちも、「また行きたい！」と。
内藤さんの建築はプログラムとしては45mの年縞を中心に据え、まずは現代から7万年前までの時間を遡り、裏側へ回ると同じ時間を今度は何が起きたか、なぜなのか、という理由と共に時間を現在へと戻っていきます。
その最後にはまた気になれば7万年分の年縞を見直せるということで、グルグル回れる単純なもの。その単純さの持つ強さを素直な構造美で素晴らしい建築へと昇華させていました。
是非皆さんも一度お越しください。近くには展望台テラスや海水浴場も。夏に特にお勧めです。