JOURNAL

手から離れた部分

2017.02.27

誤解を恐れずに言えば、新築は一からすべてを作れるため、すべてをコントロール可能なものづくり。
様々な素材や構造、機能のバランスをそれぞれ調節しながら調和を図ります。
それに対してリノベーションはすでにそこに構築物があり、それとのコラボレーションになるので既存部分は自分のコントロール下からは既に外れています。
写真は神戸で進めているリノベーションの解体現場。
この天井を見るとこれは自分が一から設計してもつくれないものだと感じます。
数十年重ねられた時間の経過はどうやっても今からは作れません。
そうした自分の手から離れた部分は自分だけではつくり得なかった空間をもたらしてくれます。
新築とリノベーションは、両方とも設計という分野でくくられるものの、全く違う性質の作業なのかもしれません。
解体することで露になったこの天井の佇まいは、何か空から突然降って来たプレゼントのよう。
今まで頭の中で思い描いていた完成後の空間は、そのプレゼント達により更に素敵になってくれそうです。

Photo: Demolition site of a renovation project in Kobe.