JOURNAL

窓辺と馴染む布

2026.01.21

H&では、窓を木製でつくることが多くあります。

それは、私たちが大切にしている「自然素材」を住まいに多く取り入れているから。 床や壁、柱と同じように、窓という開口部もまた、自然なものの一部であってほしいと願うからです。

自然素材でつくられた家は、時とともに少しずつ表情を変えていきます。 私たちはそれを劣化ではなく、「経年美化」として愛おしく捉えています。 家全体が長い時間をかけて成熟していくように、木製の窓枠もまた、飴色へと育っていきます。

家全体がそうやって呼吸をし、育っていくとなると、 「では、その窓辺に添えるものは?」と考えたとき、 やはり光をたたえるカーテンも、同じように呼吸する自然素材としたい。 そう考えるのは、とても自然なことでした。

カーテンの世界は、知れば知るほど奥深いものです。 H&Atelierではリネン(麻)やコットンをご提案することが多いのですが、その表情は本当に多種多様。

生地の厚みひとつで、レースのように光を柔らかく通すこともできれば、 しっかりと視線を遮る役割を果たしてくれたりもします。

なにより、毎日朝晩、開け閉めをするたびに手に触れるその感触。 自然素材特有の「揺らぎ」は、手触りも心地よく、空間に違和感なく溶け込みます。

そして、生地選びと同じくらい大切なのが「仕立て」です。

例えば「ヒダ」の取り方。 すっきりと見せる「ヒダ無し」、程よいゆとりの「1.5倍ヒダ」、優雅さのある「2倍ヒダ」。 どの程度のボリュームを持たせたいか、どのようなイメージの窓辺にしたいかで、選ぶべきヒダの形は変わります。

さらに、裾(すそ)の仕上げに重要な秘密があります。 生地の折り返しを最小限にして軽やかに見せるのか、あえて重りとなるウエイトを入れてストンとした落ち感を出すのか。 その選択ひとつで、ファブリックの佇まいの表情がまるで変わってくるのです。

また、カーテンレールにするのか、あえてレールを使わずハトメなどで仕上げるのか。 これは見た目だけでなく、日々の暮らしで聞こえてくる「音」にも関わります。 シャッという軽快な音か、もっと布擦れのする静かな音か。 そんな五感に触れる部分までデザインできるのが、オーダーでつくる醍醐味です。

時には、ファブリックの透け感を活かして「建具」として使うこともあります。 イメージとしては、障子のような感覚に近いかもしれません。

木枠に張れるかどうかの製作上の制約はありますが、 木の扉ほど分厚くある必要はなく、「ただ、透けてほしくないだけ」というような場所には、 布の建具がとても重宝します。柔らかく空間を仕切る、日本古来の知恵の現代版とも言えるでしょう。

H&Atlierでは、こうした窓辺の風景も含めた総合的なご提案として、オリジナルファブリックもあります。 これから未来の古民家になるべく育てる新しい住まい、規格型住宅「minka」でも、選べる室礼(しつらい)として展開予定です。

日々の何気ないひとコマ、窓辺の布一枚にも、嬉しさを込めて。

 

H&が提案する、規格型住宅「minka」についてはこちら ↓

minka

 

H&Atlier 平田 智子

 

H&は丹波篠山と神戸を拠点に活動する建築設計事務所です
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