JOURNAL

時を継ぎ、風景を継ぐ

2026.01.29

私たちは新築の「minka」において、未来の古民家として受け継がれていく建築を目指しています。

そして同時に、これまでこの土地の風景を形作ってきた、かつての「民家」=古民家の再生も、私たちの大切な仕事です。古民家を改修したガラス作家さんのギャラリー外観

世の中では、まだ「新しいものが良い」とされる風潮が強いかもしれません。

しかし、私たちは古民家の再生・改修には、新築では決して生み出せない価値があると確信しています。

今では手に入らない大断面の木材、手間をかけた仕事、風土に根差した様式。何より、100年という時間が育てた空気感。それらは、古民家だけが纏うことのできる、かけがえのない価値です。

その蓄積された時間に敬意を払いながら、現代の暮らしの器として、丁寧に整え直す。 それが、私たちが考える古民家改修です。

-骨格を読む-
古民家を改修したガラス作家さんのギャラリー

木造建築の魅力は、その骨格に宿ります。

頭上をダイナミックに横切る「ゴロンボ」と呼ばれる丸太梁や、力強い大黒柱。

それらは地域ごとのシンプルな間取りを支えるため、合理的かつ無駄なく組まれています。

長い暮らしの中で覆われてしまったその本来の骨格を、現地調査で丁寧に読み解いていく。

あらわになった力強い構造体に寄り添うように、設計の手を入れていきます。
 

-時間を残す-
力強い古民家の構造美

柱や梁はもちろん、土壁の表情、あるいは天井裏で燻された煤竹(すすだけ)。

人間の一生よりも長い時間を湛えたそれらの素材は、今から作ろうとしても手に入りません。

私たちは、そうした「古きもの」の気配をできる限り空間に残したいと考えます。

時間を継承することこそが、古民家に住まう何よりの豊かさだからです。
古い土壁を活かした古民家リノベーション

-現代を加える-
中塗土を用いた古民家改修の壁

現代の暮らしに必要な機能を加える際、新しく設える部分には、元の空間と呼応する素材を選びます。

天然の木、土、左官仕上げ、古建具の再利用。 時にミニマルで現代的なデザインを施す際も、素材の根っこを揃えることで、新旧の時間が静かに調和する、全体性を持った建築を目指します。
古民家を改修したジュエリー作家さんのギャラリーカフェ
古民家を改修したゲストハウス

-暑さ寒さを解く-
古民家改修に導入された薪ストーブ

「古民家は寒い」。それは過去の話です。

寒さの原因は、建物の古さではなく、断熱性能の不足にあります。

床、壁、天井、そして窓に適切な断熱を施すことで、現代の住宅と同様、あるいはそれ以上に、夏涼しく冬暖かい快適な環境は実現可能です。

断熱という現代の衣を一枚纏わせることで、薪ストーブや床暖房の熱も、より優しく暮らしを包み込みます。
 

-構造を整える-
補強板壁

古民家には、古民家のための構造計算があります。

現在の在来工法のように壁で固めるのではなく、伝統建築が持つ「しなやかに変形する能力」を評価する「限界耐力計算」などを用い、建物の特性に合わせた土壁や「補強板壁」による補強計画を行います。

劣化部分の補修はもちろん、仕口や小壁も耐力要素として見込むことで、古民家ならではの開放的な間取りを活かしたまま、安心して住み継げる強さを確保します。

古民家を改修したガラス作家さんのギャラリー

古民家暮らしに憧れはあるけれど、現実的な不安から二の足を踏んでしまう。そんな方も多いかもしれません。

しかし、法隆寺の例を引くまでもなく、本来、木造建築は人間の寿命をはるかに超えて生き続ける力を持っています。築100年の古民家も、長い木の命からすれば、まだ折り返し地点かもしれません。

適切な手当てを施し、不安を取り除くこと。 そして、次の100年も「継いでいきたい」と思えるような、愛着の持てる風景へと磨き直すこと。 それが、私たちの役割です。

H&Architects 半田俊哉 

 
古民家の改修事例は以下よりご覧ください。
古民家改修事例
 

 

 

H&は丹波篠山と神戸を拠点に活動する建築設計事務所です
丹波篠山事務所:兵庫県丹波篠山市東吹36-1
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