巡る屋根
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稲藁逆葺の車庫
私たちの自宅とH&丹波篠山事務所の間に立つ稲藁葺の車庫です。
三年に一度、目の前に広がる私たちの田んぼの収穫が終わった後に葺き替えを行っています。
役目を終えた稲藁たちは田んぼに戻りますが、三年間屋根の上で風雨に晒され続けた稲藁は分解が進み、刈り取られたばかりの藁と比べて田んぼの肥料としてちょうどよい頃合いとなります。
「建築で30mmのずれは大問題ですが、茅葺だと誤差なんです」というくさかんむり相良さんの言葉の通り、茅葺作業は子供から大人、慣れた人慣れていない人が分け隔てなく関われる懐の深さがあります。
葺き替えの作業は家族と事務所総出で行い、皆で横並びになってあれやこれやと話をしながら進んでいきます。
作業中、段々と出来上がってくるふかふかの屋根はなんだか大きな動物のお腹の上にでも乗っているような気分。
車や道具を雨から守ってくれ、その作業には皆が関わることができ、材料は主食を得るために育てた作物の副産物であり、同時に次世代の為の肥料熟成が行われ、そしてその姿が美しい。
私たちが描く一つの理想がこの稲藁葺きの屋根には詰まっていると感じています。